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大腸がん <外科 診療内容>

大腸がんとは

大腸に発生するがんで、胃がんと同様に、一番内側の粘膜層から発生する病気です。粘膜の良性のポリープの一部分が、がん化して発生する場合や、粘膜の正常細胞から直接発生する場合があります。進行した場合は大腸壁に深く侵入し、周囲のリンパ節や、遠隔臓器(肝臓・肺など)に転移を来たします(図15)。大腸は、盲腸・上行結腸・横行結腸・下行結腸・S状結腸・直腸の部位に分けられ(図16)、日本人の大腸がんはS状結腸と直腸にできやすいと言われております。
 原因は生活習慣では、食物繊維の摂取不足や高脂質・高タンパクの食事、いわゆる食生活の欧米化が要因として知られており、また、家族性大腸腺腫症や遺伝性非ポリポーシス性大腸がんの家系などの遺伝的な要因も判明しております。
 症状は、早期の場合、自覚症状が出ることはほとんどなく、検診の便潜血検査や内視鏡検査で発見される事が多くなります。進行している場合は、病変からの出血で便が黒色に変化したり、直腸に近い場合は、「便が出づらい、出しづらい」といった症状がきっかけで発見されることも少なくありません。

fig15.大腸がん(図15) 拡大して見る
fig16.大腸がんの発生部位(図16) 拡大して見る


治療方針

・早期がん※1  ⇒内視鏡的切除(EMR,ESD※2)

・早期がん/進行がん  ⇒外科的切除

・遠隔転移を伴う進行がん  ⇒原発巣切除が可能であれば切除。遠隔転移巣も切除可能であれば切除。切除不可能な場合抗がん剤治療

※1 深さが浅い,がんの顔つきが良い,などの条件がガイドラインで決められています

※2 EMR:内視鏡的粘膜切除術 ESD:内視鏡的粘膜下層剥離術


 胃がんと同様で、早期の場合は内視鏡的切除が可能な場合があります(図17)。胃がんの内視鏡的切除よりも適応は広く、内視鏡的切除が行われる早期の大腸がんも少なくありません。進行がんになると、周囲のリンパ節への転移の可能性が高くなるため、外科的切除の適応となります。
 また、胃がんと大きく異なる点は、遠隔転移を伴う場合でも、病巣が切除可能であれば、外科的に切除する事で予後が延長される事が証明されております。したがって、遠隔転移を伴う大腸がんでも、まず大腸がんを切除し、その後、遠隔転移(肝臓や肺など)に対する治療(切除)を行う事も少なくありません(図18)。

fig17.EMR(図17) 拡大して見る
fig18.遠隔転移を伴う大腸がんの治療方針(図18) 拡大して見る

術式の選択

術式は、切除する部位により異なりますが、病変を含む腸管の切除+リンパ節郭清+腸管吻合の基本はかわりません(図19,20)。肛門に近接している直腸がんでは、肛門を温存することが難しい(がんの根治性が失われる)と判断した場合は、肛門をくり抜き、永久人工肛門になることもあります(図21)。

fig19.大腸がんの切除術式(図19) 拡大して見る
fig20.大腸がんの切除術式(図20) 拡大して見る
fig21.直腸がんの切除術式(図21) 拡大して見る

腹腔鏡手術の適応

大腸がんに対する安全性・根治性のデータは、胃がんに対する腹腔鏡手術よりも多くのevidence(証拠)が報告されております。ガイドラインでも進行がんに対する腹腔鏡手術は容認されており、手技的にも確立されております。当院でも進行がんに対し、積極的に腹腔鏡手術を取り入れております(図22)。

fig22.腹腔鏡手術と開腹手術の創部の違い(大腸がん)(図22) 拡大して見る


術後経過

手術翌日には水分摂取を開始し、術後3日目には食事を開始します。術後早期の離床を促し、術後合併症の軽減に努めます。術後経過が良ければ7〜10日目で退院可能となります。大腸癌手術でもクリニカルパスを利用し、患者さま自身がご自分の治療予定について、一目で把握できるようにしております(図23)。

fig23.クリニカルパス(図23) 拡大して見る
 


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